相続相続人は会ったこともない外国人!? ハワイの代襲相続人編
沖縄市にすむTさん(女性)が、無料相談で来所されました。お兄さまが独身のまま亡くなり、両親は既に他界していたので相続人は妹のTさん一人だと、思い込んでいました。ところが兄の住まいだった実家を相続登記しようと思ったら、驚くべき事実が発覚しました。
Tさんのお父様は既に他界しましたが、お母様と結婚する前に別の女性との間に子供がいたことが判明しました。Tさんは両親から腹違いの兄弟がいるとは聞いておらず、まさに寝耳に水とはこのことです。
亡くなったTさんのお父様が最初のお子様は、最初の妻との間に設けた子どもでしたが、離婚され離婚した妻が引き取りしました。そしてその後ハワイに移住されたことが、Tさんがその後親戚から聞いたお話でした。
このままでは、実家の名義が変更できないだけでなく、凍結された預金を使うこともできません。何より実家には亡くなった両親のトートーメー(仏壇)があります。これからどうしたらいいのか、頭を抱えてしまいました。
登記を依頼した司法書士事務所で、引き続き相談したところ、日本の戸籍から既に離れた相続人を探すことは行ったことがなく、第一にその術さえ分からないとのことでした。 焦ったTさんはインターネットで検索されて、ホームページをご覧になって来社されたということでした。
沖縄から移民された方はとても多く、Tさんのような事情も珍しくありません。
不安げなTさんを励ましつつ、親戚筋をたどり何か情報を探しましょうと一緒にお手伝いすることになりました。
解決策代襲相続人は日本語が分からないハワイ人
Tさんの親戚筋から、予想より早く異母兄弟のことは分かりました。その方は女性でしたが残念ながら亡くなっていました。しかし、ハワイで結婚されてお子様がいらっしゃることが分かりました。今回の相続では代襲相続人に該当する方です。けれど、現地にいる親戚の方達もあまり付き合いがないので、どこに住んでいるのかも不明だがアルバイトしている店は分かるということが判明しました。
事情を英語に訳した手紙を、現地にいる親戚の方にお願いして、アルバイト先に届けていただけることになりました。Tさんもやっと、少し動き始めそうで、表情も和んできました。
ハワイの代襲相続人は一度も沖縄に来たことがなかったので、沖縄の風習や仏壇や位牌に関する概念がまったくありません。母親からもそういった話は聞いたことがなかったそうで、これまでの経緯や将来にわたる話を、通訳を介し説明しました。
それでも何度か「相続に相当する分をお金に代えてくれたら、不動産はいらない」という返事しかかえってきません。しかし、沖縄にある不動産は実家の古い建物とその敷地です。 沖縄のトートーメー(位牌)を守ることに協力してもらうよう、諦めずにお願いをしました。
ようやく、ハワイから多少のお金で遺産分割協議書にサインしていただけることになりました。 ハワイには印鑑がないので、署名証明書を公証人の面前で行い証明してもらいます。当社では精通するスタッフもいて、ハワイと連携しながらスムーズに事務が進みました。
Tさんとスタッフもようやく、解決できそうだと一緒に安堵しました。不動産の相続登記が終わり無事に実家を守ることができました。